K子の旅だけじゃないログ

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旅好きOLのいろいろ記録

ネイルと蒔絵と工芸とわたし

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ところでこのセンスのタイトルって若い人にどう見えるんだろう?
ただの日記っぽいんだけど結構長々したので、見出しつけてみた。

 新しいネイルを買った

この前久々デパート行って新しいネイルを買いました。

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ゴールド!

……普段は免税店で買ってたんですけどね……!

ネイルは一度憧れで使ったら「ウワ〜不器用なわたしでもこんなにきれいにぬれて色もめちゃくちゃきれい!確かに3,000円は安くはないけど一回買ったら何度も楽しめる!」ってことで、CHANELのヴェルニが基本です。
限定の773.シェヌドーがめちゃんこかわいかったんですが、当然のように売り切れており、でもすっかりゴールドな気分になってしまったので、532.キャノティエを買いました。
シェヌドーのが黄味が強くてゴージャス感あると思います。ホリデーシーズンにぴったりですね。キャノティエは少し白めのパールが強くて品の良い感じ。まあどっちも良い。

そんで塗りました。ちょうど翌日にiPhone12miniちゃん(緑)が届く予定だったので、下に590.ヴェルデパステッロを仕込んでから塗ってみました。

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iPhone(緑)をお迎えするきもちを表現

思ったよりぜんぜん透けなかったんですけど(安定の一度塗りでも強い発色……!)、ぜんぜん透けてないのに確かに下に緑がある感じがすごい気に入って、あ〜いいな〜なんかこうこの控えめながら微かに透けててニュアンスあるところが和のセンスって感じでいいな〜、また他の色でも試そ!とか思いました。

で、あとで「和のセンス」ってなんで思ったんやろとか思ったんですが、イヤ実際こういう微妙なニュアンスカラーて着物だの帯だのでも見ますけども、それだけじゃなく、

この前国立工芸館行ったからだ〜!

絶対そう!!と思い当たりました。

国立工芸館行った

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建物の一部は明治期に建てられた歴史建造物(国登録有形文化財)を移築したもの

国立工芸館はもともと千代田の国立近代美術館内にあったんですが、先月10月に金沢に移転オープンしました。元は8月の予定だったんだっけ?コロナで延期になってた感じですね。

www.momat.go.jp

金沢元々行きたかったしこの機会にいこ!ってことでGo toして開館日に見てきました。
開館記念展はこんなのでした。

www.momat.go.jp

これがまあすんごいよくってですね!もう目の保養祭り(?)ですよ!
そんで特にわたしがすごい好き!!ってなったのが、松田権六と言うひとの蒔絵作品でした。あっコレ特に好き!あっコレも特に好きだな!とか見てたら同じ方のだったんですよね。

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あれもこれもそれもおなじひとのだった

もうすんごい繊細でニュアンスがすごくてすっごい美しくて、いつまでも眺めていたい……!と言うまあ完全に語彙が崩壊する感じでした。

それに加えてその方が特集されてて、昔文化庁が工芸技法の記録映画として撮った作品で製作過程を流してて、もうあまり細かくストイックな作業に気が遠くなりながら見ちゃいました。

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細かい作業拡大するせいでもう撮ってるカメラの映像がぶるぶる震えてたりする

貝殻の粉や金粉を竹筒を手で持って指で弾いて落としていくんですが、筒そのものの種類だけでなく、持ち方・弾き方などで粉の落ち方やより細かい粉が落ちたり大きい粉が落ちたりの調節になったり。で、そんなことをしてびっしり落とした粉をまたよく見ながら、ほっそいスティックのようなものを使って浮いているものをおさえるだけでなく、一粒ずつ微妙に向きを調整したり足したり引いたりとかほんと気の遠くなる作業をするんですよ。それやんないとあとできれいな立体感出ないとかって。

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そんな細かい作業を全体に……

で、そうやって気の遠くなる作業できれいに金粉や貝殻で描いた雲のような模様の上から、

どばっと漆を塗っちゃったりするんですよ。

雲はうっ…すら透けているだけ。

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拡大しても揃っててかつ重層感のある金粉、金粉のない場所との境目に向けて密度が減ってる。

そのうっすら透けるだけの模様のためにあれだけ細部までこだわってやるんだ!って言う凄さ。もうほんと凄いとしか言えないんですが。でもほんとに奥からにじみでてくる気品とかうつくしさってそういう細かさとこだわりがあるからなんだろうなと。
そう言うことを何重にも繰り返して作られていく製作過程を映した映像でした。

そう言うのを見た経験からなんとなく「和」!って思ったんやなと。
でも使ってる道具とか技術とかちょっとネイルと蒔絵って通じるものない?と思う。素人でもなんかちょっと比較すると面白いので、ネイリストの人と蒔絵の職人の人、お互いの仕事見たら結構面白いんじゃないかな……イヤ自分はネイリストでも蒔絵職人でもないんで分かんないですけどね!

あと、ネイルとの関連からは離れますが、洋画家は油絵具自分で作ったりする人そんなにいないと思うけど、日本画って結構絵具作るところからやったりするんと同じなんかなと思うけど、分業とかせず様々な素材からすべてのパーツを自分で作るんだな〜と言うのもなんかすごかったです。(語彙

国立工芸館自体はコンパクトながら展示が濃密であまり疲れすぎずそれでいてじっくり集中して楽しめる規模感ですごいよかったです。
収蔵品めっちゃいい!のは今回で分かりましたし、また行きたいな……。

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見ている人を飽きさせない、あっこんなのもあるんだ?みたいな作品も。

次にやる展示(2021/1/30~)もすごいよさげ。

www.momat.go.jp

工芸を身近に感じてもらおうってアプローチだろうけど、普通に欲しすぎて家にあっても違和感なさそうなすてきな作品が展示されるっぽいです。フライヤーですごいいい……ってなりました。
わたしの見た今回の展示は1/11までやってます!

工芸ってそもそも(ついでに)

本題と離れるんですがついでなんですけど、工芸館で展示を見ながら「アート作品と工芸品の違いってなんやろな〜」と考えてたんですよね。で、特に考えをまとめることなくそのままにしてたんですけど。さっきふとブログ書こうと思ってるときに自分なりにそうかな?と思ったことをついでに書いときます。

違いは、

メッセージ(主義主張)があるかないか

かなって。蒔絵の机に蝶や花や鳥を描くときにそこに愛とか平和とかなんだったら政治性のあるメッセージとかを殊更にこめないのが工芸なんじゃないかなって。
そりゃお祝いの品にはおしどりを描くとかはあるけど、それって職人個人のメッセージじゃなくて慣習的な記号表現ですよね。お祝いの言葉の代わりにそういう意匠を使うって言う。

特別なメッセージも何もない、だけど粋や雅とかなんかそんなうつくしさを表現するためにただただストイックに技術を磨くのが工芸ってかんじ?
松田権六さんのビデオ見てたら、真冬も含めた数ヶ月の間その机を製作しながら、松を描くために自分で用意した型紙があっても、作業の合間の昼間に松をスケッチしたりしてた。型紙でおおよそのラインを取って細部を後で書き足していくからと言うのもあるけど、全体のバランス見て葉や枝を描き加えたりもするので、スケッチをして松を深く知り描き加える枝葉にも不自然さのないようにするためみたいで。ほんとすげえな!と。(すごいしか言えない
まあ結果的にただ技術の凄さと言うだけでアートの域に達することはあると思うけど。

そういや手帳やノートなんかも公開されてたんだけど、それだけで作品じゃないですか……!と言う勢いで食い入るように見てしまった。

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手帳に意匠の案を描き留めたりって軽く描き留めたレベルでこれなん……?

でもどの作品だったか忘れたけど、元々は美術家で展覧会にも出品して評価をされていたような人が「美術家であることを辞めて展覧会などには出品せず職人となって工芸作品を作った」てな感じに解説で経歴を紹介されてて、それ本人が言ったのか、周囲がそう判断したのか知らんのですけど、なかなか線引き難しいと思うんで、普通に考えたら本人がある程度言ったんじゃないかなって思うんですが。
だから、やっぱり美術と工芸になにか境界はあるんだと思う。
(てかたぶんその解説を見たからわたし考えてたんだな……。)

その境界が主義主張の有無なんじゃないかなって。でもただ主義主張があることないことに優劣はないと思うんですよね。
主義主張はだいじだし、作品をきっかけになんだったら世の中が変わることすらあるかもしれない。でも逆に主義主張故に作品が誰かを傷つける可能性だってある。(そこんとこのバランスとか難しいですよね。)
だから主義主張なくただただうつくしいものとしてある工芸品ってすごいやさしいんじゃないかなと思うんですよね。
なんも考えないでああきれいだなって思えるものがあってもいいじゃないですか。
それで行くとルネサンス期の売り絵とかって工芸に近いような……。ある程度メッセージ性あったとしてもそれ含めクライアントが依頼したもんだよね。
まあそもそもわたし(素人)の勝手に思った前提で話進めんなってなりますけども。

なんかまとまりないけど、そんなこんな。
もしかしたらわたしは工芸品を見る方が性に合ってるかもしんない。