スカジャンを買いに2018 ②デザインを決める
さて2018年(古い)に横須賀のファースト商会にてスカジャンをオーダーした話です。
前回がこちら。図案を決めずお金だけ払って帰りました。
1.何をモチーフに選ぶか
もともとプリンス商会でセミオーダー路線だったわたしは、人様の私物写真をいろいろ眺めてこんなのがいいなあんなのがいいなとある程度方向性を固めてはいたのですが、フルオーダーをすることになったのでいちから考えねばなりません。
まさかよその図案持ってってこれくださいって二重にヤバい。
スカジャンと言えば虎とか龍とか孔雀とか、他にもあるけれど生き物好きのわたしはそのあたりを考えていました。しかし心当たりのある虎とか龍とか孔雀の図案なんてありません。
う〜ん……
と言うかそこにこだわる必要ないんじゃない??
飽くまでセミオーダーと言う選択の範囲でそれがいいなってだけで、別になんでもいいんだ……でも和っぽい感じにはしたいんだよね……。
花や鳥や虫のきれいなスカジャンがあってもよいのではないか。そうだ、コレだ!
和ボタニカルスカジャンだ!
2.写真を探す
花とかなら自分で撮った写真で良いものがありそうな気がします。著作権的にもそれならなんら問題ありません。コレだね!
カシミールで撮った陽に透ける薄ピンクの薔薇、近所の河原で撮った夕陽に透けるオレンジのポピー、一昨年公園でお花見しながら撮った青空をバックに春の陽に透けるさくら……
逆光好きだな!!
知ってたけど!(自分のこと)
いろいろ候補にはあがるのですがこれにしようという決め手になるものがない。花の写真なんですよ。よくも悪くもあまり意図とか意味を感じない花の写真なんですよ。
撮ってるのわたし(素人)だからな!
素人写真の限界を感じます。自分で撮ってるから嫌いじゃないし好きなんだけど、客観的に見るとパンチに欠けるんですよ。わざわざスカジャンに刺繍して着ると考えると尚更。
それにコンデジ素人写真なんで鳥とか生き物の写真ときたらからっきしないんですよね。あってもきれいな構図で撮れてるわけがない。
そこで方向性を変えて著作権フリーの写真素材を探してみることにしました。
……しかしそれもパッとしねえな……。
やっぱり「きれいに撮れてる資料写真」って感じでそれを着るって考えてもワクワクしないんですよ。それに他の方がオーダーされたものをお店で見せていただいたのですが、往年の某映画女優の誰もが知ってる写真からつくったものがその中にあったのですが、とても忠実なんです。ここまで!?って言うくらい緻密に写真が再現されるんです。
正直それでは面白みがない。(※)
と言うことで、デザイン決めは完全にどん詰まってしまいました。
※某女優さんのものを作ったその人はその某女優さんが大好きなので、その人にとっては緻密に再現されたそれを身につけることはとても意味があると思います。(肖像権とかの問題はひとまず置いといて……。)
3.パブリックドメインデータ
そうしてすっかりデザインのアテもそもそも自分が何を身につけたいのかすらも見失い、やる気も迷子になって数日が経ちました。
しかしこのままではお店のおっちゃんを困らせてしまいます。善良なお店であれば代金を受け取ったのに納品できないのはいろいろ困る筈です。
どこかに著作権がフリーで身に着けたくなるほどすてきでしっかりデザインを伝えることのできるきちんとした画質のデータがあれば解決するのですが、そんなものあるわけ……
イヤある!!!!
あります。著作権フリーで芸術的価値が高く精緻なデータ。あります。
わたしが思い出したのはこちらでした。
Browse more than 406,000 hi-res images of public-domain works in The Met collection that can be downloaded, shared, and remixed without restriction.
メトロポリタン美術館のパブリックドメインデータです。
メトロポリタン美術館では著作権の切れた収蔵品の高解像度データをWeb上で公開しており、二次利用含め自由に使用できるのです。それを思い出しました。
たぶんわたしが最初にそれを知ったのはこちらのサイトを偶々見たときです。
ここなら日本の浮世絵などのデータもたくさんあります。たくさんあればきっと「身に着けたいくらい好き!」なものが見つかる筈!!
ちなみにメトロポリタン美術館以外でも似たようなことをしている美術館はたくさんあります。こちらで詳しくいろいろ紹介されていました。
3.好きな絵を探す
さあもうここからはひたすら探すのみ!
好きなものを思い浮かべて、膨大な検索結果を眺めます。flowers、buttefly、birdなどなど。最初は具体的な鳥の名前や花の名前も入れて検索していましたが、何が自分の琴線に触れるかわからないので、大きい言葉で検索してひたすら画面を眺め続けます。
例えば、「flower、asia」のキーワードでマテリアルをpaperにしただけだと、検索結果は1,014もありますがそれをひとつひとつ眺めていきます。
気になる作家のものがあれば今度は作家名で検索して確認したりもします。
ただ気に入ればいいと言うものでもなく、気に入ってもバランス的にスカジャンの背面にいれるにはいまいちのものなどもあります。
また、できれば背面と胸元に入れるポイントと同じ作家のものにしたい。
気に入ったものを片っぱしからダウンロードして取捨選択を繰り返すと言うことを何日も続けました。
4.デザインを決めて伝える
そしてついにコレ!と言うものにしぼることができました。
愛らしく生き生きとした動植物、やさしいけれどカラフルな色遣い。
Yi Zhaiと言う中国の画家の19世紀の絵だそう。
これならきっとすてきなスカジャンになります。特に何気に虫が愛らしい……!
1枚目が背中に入れるのにちょうど良いバランスであること、胸の左右に入れるのに2枚目・3枚目の鳥や蝶の向きがちょうど良かったのとで、この3枚に決めました。
さて、どのような位置関係でこれらを刺繍して欲しいのかきちんと伝えられるメモを作る必要があります。色の配置はこの通りお願いしていました。
ここで「グリーンの生地に葉っぱを刺繍したら埋もれるのでは?」疑惑が。でも「ベージュの生地に緑の葉っぱはかなり派手では?」と言う気もします。
気になったので画像処理ソフトを使って雑にシミレーション。
うん……緑の生地に緑の葉っぱ、ありな気がする!
と言うことで本体の色配置はもともとお願いしたまま変更しないことにしました。
書き込みが全体にしつこいです。
ちなみに雑に星マークで隠しているのはわたしの住所氏名連絡先です。
ばらばらになっても分かるように全部の紙に書きました。
就活のとき履歴書に貼り付ける写真の裏側に名前書くくらい慎重にやりました。なんだったらたぶん就活のときの履歴書より一生懸命書いたと思います。
ヨコスカなどの文字についてだけお店で見せていただいたりした他の方のものの写真を使わせていただきました。
さて、なんとか9月の末にはこれらをいただいた名刺の住所に手紙をつけて送ることができました。何か不明な点などあれば連絡が来るでしょう。
だいたい3ヶ月くらいはみてほしいと言われていたので、うまくいけば自分へのクリスマスプレゼント⭐︎的なタイミングで届く筈です。わくわくしながら待ちました。
つづきはこちら!